ラミニン活性ペプチドを固定化した機能性膜の創製
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抄録
基底膜の主要糖タンパク質・ラミニンは、細胞接着、器官形成、血管新生、創傷治癒など様々な生命現象に深く関わっている。これまでに我々は、ラミニン-1の全アミノ酸配列を全て網羅した合成ペプチドを用い、神経突起伸長、血管新生、細胞の分化などを促進するペプチドを同定してきた。今回我々は、再生医学、組織工学分野などに応用する目的で、医用材料として用いられているキトサンにこれらの活性ペプチドを固定化した機能性膜を作成し、細胞接着活性や細胞の形態に及ぼす作用を検討した。機能性膜は、あらかじめ二価反応性試薬を導入したキトサン膜に、N末端にシステインを付加したラミニン-1由来の活性ペプチドを化学的に結合させて作成した。無血清状態で細胞接着活性を測定したところ未修飾のキトサン膜にはヒト皮膚由来線維芽細胞は接着しなかった。A99(AGTFALRGDNPQG)を固定化したキトサン膜上では、細胞は接着して細長く進展しアクチンストレスファイバーを形成した。一方、AG73(RKRLQVQLSIRT)を固定化したキトサン膜上では,細胞は強く接着し、星状のラフリングを形成した。このような細胞形態の違いは細胞膜上のレセプターに依存することがEDTAやヘパリンを用いた阻害実験で明らかになった。またAG73、A99を固定化したキトサン膜上において神経系細胞の神経突起伸長が促進されることがわかった。このことは、キトサン膜に神経突起伸長活性を有するペプチドを固定化することで神経突起伸長を促進する機能性膜の作成が可能なことを示している。また細胞の形態に大きな違いがみられたAG73とA99を様々な比で組み合わせてキトサン膜上に付加させたところ、AG73とA99の混合比によって細胞の形態が変化することがわかった。AG73はシンデカン、A99はインテグリンをレセプターとして細胞に対し作用することから、キトサン膜上でAG73とA99の混合比を変化させることにより、シンデカンとインテグリンの細胞接着に及ぼす影響を検討した。以上の実験から、ラミニン-1由来の細胞接着活性をもつペプチドをキトサン膜に固定化することにより、再生医学や組織工学に応用可能な機能性膜の調節が可能であることが示された。
収録刊行物
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- Connective tissue
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Connective tissue 34 (1), 52-,
日本結合組織学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1543950420090593792
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- NII論文ID
- 110004002468
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- NII書誌ID
- AN10169901
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- NDL-Digital
- CiNii Articles