土石流による信越本線の災害

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抄録

昭和53年5月18日に, 新潟県赤倉山ろく南地獄谷で雪解け水によって発生した地すべりは, 白田切川沿いに, 時速70km/h, 数10万m^3の土石流を誘発し, 10名の死者, 家屋倒壊, 国鉄信越本線など多大の被害を与えた。本報では, 初めに我が国の自然災害状況, 特に地すべり危険箇所について言及し, 次いで, 当災害の被害状況および歴史的背景を説明している。国鉄本線の当面の復旧対策としては, 93.4mのトラス橋梁を架設し, 下部構造には鋼管杭および直接基礎が打設され, 災害発生から111日後に開通した。本復旧工事は, 線増計画に関連して検討がなされている。また, 今後における再発防止のための検討事項として, 土石流, 落石等の発生を事前に正確に把握する予知・予測手法の開発, 災害の発生の可能性を検査し, 適切な対策を講ずるための検査体制の確立, 合理的な対策を行うための設計・施工法の開発の必要性を挙げている。更に, 国および国鉄が目下推進中の防災対策状況を述べ, 広域的な防災対策協議の必要性を説いている。

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