アンカーの把駐力に関する理論的考察

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  • Theoretical Study on the Holding Power of the Anchor

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本研究は,アンカーの把駐力を土質力学的に解明したものである。すなわち,アンカーの爪が底質を剪断するときの抵抗が,把駐力を生ずるとの考えのもとに行なわれた。問題を単純化し 1) 底質の土圧はクーロンの土圧理論に従う。 2) 二次元問題とし,爪の側面の影響は考慮しない。 3) アンカーシャンクは水平に底質に接する。 4) 底質は水で飽和し,完全にゆるい状態と考える。 の仮定の下に,把駐力の計算を行ない,把駐力は爪の長さの2乗,爪の幅,および底質の密度に比例し,さらに爪の開き角度θ,底質の息角φ,および底質と爪との摩擦角δの関数となることを認めた。把駐力をHとすれば H=f(θ,φ,δ) r_t h^2 B f(θ,φ,δ)は複雑な式となるため,電子計算機による数値計算を行なった。その結果,把駐力はθが増すとともに増大し,またφ,δが大きい程大きい。 把駐力がθとともに増大するのみで極大値を有しないことは,経験上から不都合である。この原因は,爪と砂との摩擦により浮上る現象によるものと考え,代表的なJIS型アンカーについて検討した結果,理論値と経験値との完全な一致をみた。すなわち,実際のアンカーでは,ある程度のθ以上では 3)の仮定が成立たなくなる結果,爪の埋没長さが減じ,把駐力が減少することになる。 結論としては,アンカーに最も効果的に把駐力を与えるためには,爪が浮上しない限りの最小重量と最大開き角度を持たせ,爪をなるべく長くすることであり,爪の限界開き角度はφ,δが大きい程小さい。

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