腫瘍マーカーCA125による卵巣漿液性嚢胞腺癌再発の早期発見の試み

書誌事項

タイトル別名
  • An Early Detection of the Recurrence of Serous Cystadenocarcinoma of the Ovary with the Tumor Marker CA125 Levels

この論文をさがす

説明

卵巣漿液性嚢胞腺癌において陽性率の高い血清CA125値によつて, どの程度その再発の予知が可能かを検討した. 対象は卵巣漿液性嚢胞腺癌35例で, その内訳は初回治療により臨床的寛解後に再発した23例(再発群)と, 少なくとも2年間再発のみられない12例(非再発群)である. これら2群について, 血清CA125値の推移と再発の関係を検討した. 1) 初回治療前血清CA125値が高くなるほど再発頻度が高い傾向がみられたが, これは進行例に血清CA125値の高い例が多かつたためと思われた. 2) 血清CA125値が, 初回治療開始から短期間で正常値に下降した例や, 8U/mlを長期に持続した例でも, その後急速に上昇する例があり, 初回治療経過中の血清CA125値により再発を予測するのは困難であつた. 3) 再発とみなす血清CA125のCut off値を35U/mlとした場合, 再発群では22/23例の再発検出率であり, 非再発群では35U/mlを超えるものはなかつた. しかし, Cut off値を30および25U/mlと低くすると, 非再発群の偽陽性率が1/12および4/12例と高くなつた. 4) Second look operationで残存病変の最大径が2cm以上でも, 血清CA125値が35U/ml以下を示す例が5/18例にみられた. 5) 再発例では再発時に血清CA125値の3回連続の上昇がみられ, 35U/ml以下のレベルでも3回連続して上昇する例が認められたが, 非再発群では1例も3回連続の上昇はみられなかつた. 6) 血清CA125値が35U/ml以上になつた場合, 再発時の血清CA125値の上昇パターンを非線形のモデル式で解析すると, 血清CA125値が100U/ml以上になるまでの再発発見率は, 測定間隔を1カ月とすると13/19例(68.4%)であり, 2週間では17/19例(89.5%)であつた. 以上のことから, 初回治療前および初回治療経過中に, 血清CA125値で再発の有無を予測することは困難であるが, 寛解後であれば, 血清CA125値が35U/ml以下であつても3回連続の上昇に注意し, 測定間隔を短くすることによつて, 再発の早期発見の可能性が示唆された.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ