DOA症例からみた地域救急医療の問題点

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  • Regional Emergency Medicine and Prehospital Care Evaluated in 10-year review of D. O. A Cases

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説明

1979年6月〜1990年3月の10年10か月間に北里大学病院救命救急センターに搬送されたDOA〔Dead (Death) on Arrival〕症例は682例であった。これらの症例の原疾患,発症時間,心肺停止の場所,搬送様式,救急隊現場到着までの時間および搬送時間,二次病院での処置の内容,一般市民のCPRの状況,医療費,予後等を検討するとともに,アンケートによる一般市民の心肺蘇生に対する認識度を調査し,地域救急医療およびプレホスピタルケアーの問題点について検討した。これらDOA症例の長期生存数(率)は23例(3.4%)であり,半数は重篤な遷延性意識障害を残した。11例(1.6%)の独歩退院症例中,救急隊現場到着時には生命徴侯が認められたものが10例で,5例は心肺停止後5分以内に二次救急処置が開始されていた。DOA症例の80.8%が救急隊現場到着時既に心肺停止が生じているにも拘らず,bystander CPRはわずかに8.3%にしか行われておらず,救命率の向上にはプレホスピタルケアーの充実が不可欠と考えられた。

収録刊行物

  • 北里医学

    北里医学 22 (2), 245-252, 1992-04-30

    北里大学

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