フリーライティングを通して、学生自身の言葉を流暢に書く能力を引き出していく
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- ルール ドーン ミシェル
- 長崎大学 大学教育機能開発センター
書誌事項
- タイトル別名
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- Helping Students Find Their Writing Voices
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説明
本稿は毎週の課題であるフリー・ライティング後の心理状態をセルフ・モニタリングすると言う予備的研究の報告である。これは、フリー・ライティングがフロー到達の手段の一つとなり、英語や日本語の流暢さ(fl uency ⇒ increased written output)に良い影響を及ぼすと言う仮説を検証するものである。チクセントミハイ(1975)によれば、フローとは、能力の水準と課題の難易度とのバランスの均衡が保たれている場合の精神状態を表す。これは心身を融合させる活動における最高の集中状態と本質的な価値による動機づけがなされていることを意味する。フリー・ライティングはその流暢さに重きがおかれ、一定の身体的な動きも伴うため、フローへの到達に適していると考えられる。この仮説に基づき、筆者は学生に時間制限を設けたフリー・ライティングを毎週の課題とした。そして、どれぐらい書いたかを明確にするため、課題終了時に、日付と語数をグラフに印してもらった。学生は学期半ばに自己評価を行った。最終クラス前に、学生はチクセントミハイのフロー状態を示すグラフを見た上で、心理状態の自己評価を行った。 フローは覚醒(arousal) の次に多く報告された。更に、学生は英語や日本語のフリーライティングで違った精神状態を示した。不安、リラックス、制御、心配、無気力、倦怠感などが挙げられた。これら、それぞれの心理状態は、活動の難易度と学習者のスキルとのバランスを表している。15 週間の間、約 1/4 が覚醒, さらに1/4 の学生がフローを体験したと報告している。最初から最後までの15 週間のフリーライティングの練習は学生が日本語ではなく、英語でより書けるようになったことを示した。学生自身にフローを認識させ、その体験を増やすことにより、学びの質を高めることに繋がると考えられる。
収録刊行物
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- 長崎大学大学教育機能開発センター紀要
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長崎大学大学教育機能開発センター紀要 2 27-34, 2011-03-01
長崎大学
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1570009752130040576
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- NII論文ID
- 110008606584
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- NII書誌ID
- AA12458602
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- 本文言語コード
- en
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- データソース種別
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- CiNii Articles