Roles and Significance of "Regional Management"

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  • 地域経営学の役割と意義

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第1 章では、政府・学界・学術の3 つの分野から、「地域経営(学)」の社会的・学術的背景や定義について整理してきた。そこにみられた背景は、とくに1990 年代以降に顕著になった地域間格差の拡大、人口減少・少子高齢化、地方の活力の低下・喪失、財政赤字の増大という問題点がさらに深刻化してきたことにある。これに呼応して、国土の均衡的発展、早期の自治体財政の健全化、地方分権・地域活性化の促進、そして地方創生の喚起というように、地方・地域・農村の活力を復活・再生しようとする動き・流れであった。この流れは、一方で、企業経営の理念や手法の導入を背景にした補助金削減、規制緩和、地域間競争等の促進といった新自由主義的な地域開発政策を推進し、他方では、社会の成熟化を背景にした地域価値の向上・創造、住民満足度の向上、地域の多様な主体の協働といった内発的発展型の地域政策を推奨するものであった。一見矛盾する政策であるが、同時並行的に推進されてきたところに特徴がある。このような背景と流れのなかで「地域経営(学)」が登場してきた。「地域経営(学)」は、企業経営の理念や手法を「地域」に援用しつつ、地域の多様な主体の合理的な行動・協働をとおして、地域価値や生活満足度の向上等の成熟社会にふさわしい暮らしを創りあげる、理念的にいえば「持続可能性」の確保・向上ための方法・学術・学問との認識に至りつつある。第2 章では、地域経営論を「地域における公共経営論」と定義し、先行研究論文等からその特徴と課題について明らかにした。第3 章では、地域全体の経営問題を経営学で接近するとともに、企業経営学と地域経営学の関係性について論究した。第4 章では、地域医療・福祉やヘルスツーリズム等の知見の整理をとおして、福知山公立大学医療福祉経営学科のあり方について論じた。そして第5 章では、持続な可能な社会という新たな公益の構造から導かれる協働の地域経営と協働型政策の基本概念について言及した。最終章の本稿において、「地域経営(学)」の内容や課題に関する総括的な評価や今後の検討課題を明らかにする。その際、福知山公立大学の「地域経営学」の定義や教育方法のあり方、検討課題にも言及する。

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