結晶ブドウ糖の粒度と二三の特性について

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3・1 各試料は20~120メッシュ以上に篩別され,国内産含水ブドウ糖は40および80メッシュのものが多く,アメリカ産の含水ブドウ糖は,120メッシュ以上のものが約50%であつた。無水ブドウ糖においては,両者ともほぼ同様な分布状態であつた。3・2 各試料の粒度別顕微鏡写真を,約250倍に拡大撮影して,その結晶形を比較した。各試料とも,100メッシュ以上のものは結晶破片の集りで,粒度の大きいものは聚晶(Conglomerate)であつた。特に国内産含水ブドウ糖は,60メッシュ以下のものに聚晶が多かつた。また,国内産無水ブドウ糖の結晶は,特異の結晶型をしているものであつた。3・3 Kett光電管白度計で白度を測定した結果,粒度の小さいものほど反射率(白度)が高いが,粒度の大きいものは,屈折光線の影響が大きいので,白度として表示するには,さらに検討を要することを知つた。3・4 25℃,RH81.1%において,粒度別結晶ブドウ糖の吸湿量を,10日間毎日測定した結果,粒度間に吸湿性の差は認められなかつた。3・5 溶解速度は,結晶粒子の小さいほど大であつて,各試料とも80メッシュ以上のものは,グラニユ糖と同程度であるが,60メッシュ以下になると,試料によりかなりの差がある。また,蒸溜水,蔗糖10%液,クエン酸0.3%液のそれぞれに対する溶解速度は,一般に前記の順に遅い傾向を示した。3・6 各試料の水溶液の紫外部の吸収曲線を測定した結果,各試料ともHydroxymethyl-furufuralに相当する吸収を有することを認めた。アメリカ産の無水ブドウ糖の吸光度が最も低く,また,一般に60~100メッシュのものが低い吸光度を示す傾向であつた。3・7 ペーパークロマトグラフィーで,定性的にオリゴ糖の分布をみたが,粒度間に著しい差は認められなかつた。以上の結果を総合して,結晶ブドウ糖は60~100メッシュのものが,正常結晶が揃い,白度もほぼ一定し,溶解速度もグラニユ糖と同程度であり,紫外部吸収が少く純度高く,商品的価値が高まるものと推察した。

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