アナログ空中写真からの広域オルソモザイク画像作成の試み

Search this article

Description

デジタル撮影全盛期の現在においても,過去の森林や山地斜面の状態を知るためには,アナログ撮影された空中写真の判読や解析が不可欠である。空中写真は元々中心投影特有の歪みを持っているが,これを正射投影に変換してオルソ画像を作成すると,解析の際に他の地図類とも重ね合わせることができて便利である。過去のアナログ空中写真のデジタルオルソ化や,そのオルソ画像の判読,解析例としては,板谷・山崎,沼本ら,鈴木,小林・佐竹,内山ら,Uchiyama and Miyagiなどがある。板谷・山崎は,自作プログラムによるデジタルオルソフォトの作成を行い,平均誤差が4.24mであったとしている。沼本らは,5時期(5枚)のアナログ空中写真をスキャナで読み取り,一般向け画像処理ソフト上で目視により地形図に合わせて変形させた簡易オルソを作成し,立体視判読を併用して崩壊地の経年変化を解析した。鈴木は,沼本らの方法で作成した7時期の簡易オルソを用い,丹沢山地北部の57年間の崩壊地と森林の変遷を判読した。小林・佐竹は,業務用GISソフトの写真測量モジュールを使用し,単写真,地形図およびDEMを使用して多時期の簡易デジタルオルソフォトを作成し,森林の施業履歴の判読を行い,公図や登記簿情報から作成した森林素図,ノートPCやハンディGPS等を組み合わせて利用する,「森林境界明確化支援システム」を開発した。内山らは,多視点で撮影された写真群からオルソモザイク画像を作成することができる,SfM(Structure from Motion)ソフトウェアを使用し,1976年に国土地理院がアナログ撮影したカラー空中写真のスキャン画像23枚を使用してDSMとオルソモザイク画像を作成し,災害発生前の対照画像としての活用可能性を示した。また,Uchiyama and Miyagiは,SfMソフトウェアを使用し,災害前の1978年アナログ撮影写真16枚と,災害後の2012年アナログ撮影写真8枚からそれぞれオルソモザイク画像を作成して時系列解析を行い,その際のGCP付与後の位置誤差が平均約10m,最大で20mであったとしている。ソフトウェアが比較的安価に入手できる昨今では,オルソフォト作成の主役は,数十枚の単写真をまとめてオルソ化し,接合までしてくれるSfMソフトウェアになると思われるが,デジタル写真と比べて,アナログ写真からのオルソモザイク画像の作成事例はまだ少ない。そこで本稿では,代表的なSfMソフトウェアのひとつであるPhotoScan(Agisoft/Russia)を利用し,広域的なオルソモザイク画像を試作した結果について報告する。

Journal

Details 詳細情報について

Report a problem

Back to top