タイワンホトトギスにおける培養物の紡錘糸形成阻害剤処理による染色体倍加

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抄録

タイワンホトトギス(Tricyrtis formosana; 2n=2x=26)はユリ科に属する多年草で、台湾や日本の南西諸島に自生している。ホトトギス属植物の中では、鉢物・庭植え用花き園芸植物として最も人気がある。本研究では、タイワンホトトギスの園芸形質の拡大を目的として、培養物の紡錘糸形成阻害剤処理による染色体倍加を試みた。培養小植物体から節切片を調製し、様々な濃度のコルヒチン(COL; 100、500または1000mgL-1)、オリザリン(ORY; 10、20または50mgL-1)、またはアミプロホスメチル(APM; 1、5、10または50mgL-1)で24時間処理した。100mgL-1 COL処理区、10mgL-1 ORY処理区および1mgL-1 APM処理区においては、処理2ヵ月後に85%以上の節切片が生存し、また、30節切片から20本以上の伸長シュートが得られた。いずれの紡錘糸形成阻害剤においても、節切片生存率および伸長シュート数は処理濃度の上昇とともに減少した。紡錘糸形成阻害剤処理後の節切片から再生した小植物体についてフローサイトメトリー分析を行ったところ、染色体倍加を示す小植物体の割合は10mgL-1 ORY処理区で最も高かった(71.4%)。しかしながら、染色体倍加を示す小植物体のほとんどは倍数性キメラ(2x+4x)であり、四倍体小植物体(4x)はわずかしか得られなかった。今後は、倍数性キメラ個体の再生を抑制できる染色体倍加方法の検討が必要である。

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