煙樹ヶ浜松林保全に貢献した吉原地区の治山事業(和歌山県美浜町)

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抄録

煙樹ヶ浜の松林は,日高川(二級河川)の河口から日ノ岬へ向かって弓なりの浜を縁取るように伸びる全長約4.5km,最大幅約500m,総面積79haの松原で,マツの本数は6万本ともいわれ,近畿地方最大規模を誇っている。また,県立自然公園に指定されているとともに,「日本の名松百選」と「日本の白砂青松百選」の一つに選ばれ,地域の美しい景観をつくっていることから,県内の有名な観光地となっている。この煙樹ヶ浜の松林は,塩害を防ぐために植えられたものといわれ,紀州初代藩主徳川頼宣公の時代(1619(元和5)年頃)には,すでに「御留山」として伐採が禁じられ,背後の日高平野一帯に広がる家屋や田畑を塩害や風害から守り続けてきたが,昭和30年代から松くい虫被害により生育木の枯死が発生するようになったため,松林の健全な育成と保全のための森林整備等が行われることになった。

収録刊行物

  • 水利科学

    水利科学 (345), 130-134, 2015-10

    水利科学研究所

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