脳血管障害片麻痺患者に対する陽陵泉穴への置鍼刺激による鍼治療の効果
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説明
今回我々は,特に下肢伸筋群の筋緊張亢進を認める脳血管障害片麻痺患者2症例(女性,左片麻痺)の歩行改善を目的に陽陵泉穴に鍼治療を行った。鍼治療前後の臨床症状の変化は足関節底屈筋群の筋緊張・アキレス腱反射・足関節背屈関節可動域で検討した。筋機能に及ぼす影響は足関節背屈動作時の前脛骨筋・ヒラメ筋から導出した動作筋電図より鍼治療前後において検討を行い,脊髄神経機能に及ぼす影響は後脛骨神経刺激でヒラメ筋より導出したH反射を安静時,置鍼中2回,抜鍼後6回の計9回測定し検討した。鍼治療はデイスポーザブル鍼50mm,20号を用いて麻痺側の陽陵泉穴に約1cmの深さに4分間置鍼した。結果 : (1)臨床的所見では,筋緊張は軽度の改善を認め,足関節背筋関節可動域の増加を認めた。(2)足関節背筋時の動作筋電図波形の筋積分値は鍼治療前に比べて,前脛骨筋およびヒラメ筋とも鍼治療後に増加した。(3)振幅H/M比は両症例において鍼治療前安静時に比べて置鍼中,抜鍼後ともに減少した。今回の結果より,陽陵泉穴への鍼刺激が下肢の臨床所見,筋機能および脊髄神経機能の興奮性を改善する可能性が示唆された。
収録刊行物
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- 関西鍼灸短期大学年報
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関西鍼灸短期大学年報 14 77-82, 1999-09-30
関西鍼灸大学
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1570291226916572288
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- NII論文ID
- 110001058114
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- NII書誌ID
- AN10371516
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- ISSN
- 09129545
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- CiNii Articles