種子島周辺海域のカンザシゴカイ類

書誌事項

タイトル別名
  • Serpulid Polychaetes from Tanega-shima, Southwest Japan

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説明

西南日本外帯の自然史科学的総合研究の一環として, 種子島ならびにその周辺海域で磯採集とドレッヂによる海産無脊椎動物相の調査がおこなわれ, 採集された多くの動物のうちから, 多毛環虫類のカンザシゴカイ科 (Serpulidae) の種類が研究された。カンザシゴカイ類は石灰質の管を作って, 石, 貝殻, または死んだイシサンゴ類などの上に付着して生息するものであって, この類は種子島周辺海域からは今まで何ら報告がなかった。 このたびの研究で明らかにされた6属, 13種には2新種, Hydroides fusca, Hydroides tuberculata と5日本新記録種 Hydroides tambalagamensis, H. externispina, H. minax, H. albiceps, Metavermilia acanthophora が含まれる。また, 暖海域に普通にみられる Spirobranchus giganteus は, 殻蓋の形態上から Spirobranchus giganteus corniculatus にされた。Hydroides 属についてみると, 報告された7種のうち, 既知種の Hydroides exaltata を除いた6種が日本の動物相に新たに追加された。 種子島周辺海域は北赤道海流に源を発する黒潮に支配されているので, 一般にインド・マレー群島水域やフィリッピンの海産動物相と近似しているとされている。しかし, ここに研究された13種類のうち, Hydroides fusca と Spirobranchus latiscapus の2種を除いた11種類は, 北赤道海流の一部が反転して東流する赤道反流を越え, さらに南方のオーストラリア海域から見出されていて, 両海域でのこの類の近似性が非常にたかいということが解った。 海産動物は海流や船底に付着して運ばれ, 分布が拡るものであるが, この他に第三紀の海陸分布や地形なども影響して, 種子島周辺とオーストラリア海域の動物相が近似しているものと考えられる。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1570291227020009472
  • NII論文ID
    110004313275
  • NII書誌ID
    AN00379635
  • ISSN
    00824755
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • CiNii Articles

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