回腸導管尿路変更術20年間の経験, 晩期合併症と導管機能の検討
書誌事項
- タイトル別名
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- A 20-YEAR EXPERIENCE WITH ILEAL CONDUIT URINARY DIVERSION : Late Complications and Ileal Loop Function
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説明
過去20年間に234症例(原疾患:膀胱癌82.9%,その他悪性腫瘍14.5%)に対し回腸導管造設術を行い,そのうち術後3カ月以上経過観察可能であった190症例の腎機能の推移と,術後6カ月以上経過をみた176症例の晩期合併症を検討した.さらに術後腎機能に異常のみられなかった6症例と上部尿路結石がみられた4症例に利尿剤投与前後の導管口筋電図を比較検討した.術後3カ月のIVPを術前と比較した結果,約15%に腎機能の増悪所見をみた.術後4年以上観察しえた症例のIVP所見により,約23%に何らかの腎機能増悪所見が観察された.これらの所見から長期にわたる観察期間中に腎機能が新たに増悪する頻度は8%前後と推定された.術後3年間隔で測定された内因性クレアチニンクリアランスは,結石などの重篤な合併症がなければ有意な変動を示さなかった.術後6カ月以上経過してみられる晩期合併症は腎盂腎炎が14.2%と最も多く以下導管口周囲皮膚炎11.9%,イレウス11.4%,上部尿路結石10.2%,創部皮下膿瘍4.5%,吻合部尿管狭窄3.9%,導管口狭窄3.9%,創部ヘルニア3.4%の順であった.導管口狭窄のない結石合併症例の導管口筋電図では,利尿剤投与に対する導管運動性の顕著な低下を示した.回腸導管術後に合併する尿路結石の原因として従来報告されたhyperchloremic acidosisは今回の症例ではみられず,その危険因子として腎盂腎炎とその発症を助長するような導管機能不全の存在が示唆された.
収録刊行物
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- 日泌尿会誌
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日泌尿会誌 77 938-947, 1986
社団法人日本泌尿器科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1570291227405673984
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- NII論文ID
- 110003058332
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- NII書誌ID
- AN00196577
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- ISSN
- 00215287
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- CiNii Articles