ADEOS-OCTSその他のデータから明らかにされた1996年冬から1997年夏にかけての黒潮海流系の特異な挙動(続報) : 広範囲の外的条件と海底地形からの研究

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タイトル別名
  • Unusual behavior of the Kuroshio Current System from winter 1996 to summer 1997 revealed by ADEOS-OCTS and other data (continued) : A study from broad external conditions with bottom topography

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説明

前報(Toba and Murakami,1998)において,ADEOS-OCTSデータを用いて1997年4月に起こった黒潮海流系の特異な流路(1997年4月イベント)について報告した。その特徴は,伊豆小笠原海嶺の西斜面(北向き)と東斜面(南向き)に沿った黒潮の流れ,32°Nあたりという非常に南よりの転向点と,それに続く伊豆小笠原海溝と日本海溝の東斜面に沿って37°Nに達する黒潮続流の北向き直線流路であった。1997年4月イベント時のADEOS-OCTSクロロフィルa画像の上に海底地形の等深線を乗せた今回の図は,この時の海流の流路における海底地形の効果を明瞭に示す。TOPEX/POSEIDONの高度計データに基づいて,1997年4月イベントの直前に,一時的現象として,本州中央部の南東一帯で黒潮と黒潮続流を横切る海面勾配が非常に小さくなっていたことが分かった。黒潮海流系の上層の流れが何らかの理由でこの期間一時的に弱くなったことが,伊豆小笠原海嶺に沿っての強い海底地形効果をもたらし,そして伊豆小笠原海溝上では,通常黒潮続流と無関係に存在している背景的で順圧的な海溝斜面流のパターンを表面化させたのかもしれない。また,1996年冬から1998年秋にかけての黒潮続流の大きな南偏は,その前の弱い北赤道海流を伴うラニーニャ傾向と約1.5年の遅れで対応していた。1997年4月イベントの発生も,1.5年遅れでそのラニーニャ傾向の極大に一致していた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1570291227447916288
  • NII論文ID
    110003368475
  • NII書誌ID
    AN10382760
  • ISSN
    21863105
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • CiNii Articles

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