八犬傳銘々誌畧 : 解題と翻刻

この論文をさがす

抄録

曲亭馬琴歿後四年目に当たる嘉永五年の正月廿三日より江戸市村座の春狂言として三代目桜田治助作「里見八犬伝」(初編~八編) が上演された。(中略)嘉永五年の歌舞伎上演を契機とした作品がもう一つある。それが、ここで紹介する『八犬傳銘々誌畧』である。この作品は二世為永春水の手に拠って編まれ、嘉永五年に刊行されたダイジェスト版八犬伝の一種である。嘉永から安政期にかけては、中本サイズの絵本物軍記や武将英雄一代記などが流行した時期で、本作も他の絵本物と同様に、挿絵や見返などに色摺りを施し、極めて美麗な本に仕立てられている。八犬伝のダイジェストとして特筆すべきは、編年式や巻順に記述されたものではなく、見開きに二名ほどの登場人物を描き、そこに彼等が関った事件を略述するという銘々伝として編まれた点にある。今回は紹介できなかったが、翌、嘉永六年に刊行された第二集に採られた登場人物名を挙げておく。「説林」第44号(愛知県立大学国文学会)所収

収録刊行物

  • 説林

    説林 (44),

    愛知県立大学国文学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ