中国における中山間地域農業振興策と生椎茸生産の課題

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抄録

1978年の中国の改革開放政策は中国経済に大きな構造変化をもたらし、国民所得が大幅に増加している。ところが、同年に提出された「一部の人を先に豊かにさせる」という「先富論」により、沿海部を中心とする工業化が経済成長の拠点として注目されたのに対し、農村や農業部門の発展は非常に遅れている。沿岸地域と内陸地域、都市部と農村部の所得格差が拡大しつつあり、中国における農村問題がますます大きな問題となってきた。そして1996年には「三農問題」が指摘され、農村や農民を貧困から解放するために、2003年、中国政府は三農問題の解決を最重要政策のひとつに据えるようになった。こうした農村問題の解決が求められる状況のなかで、とりわけ厳しい条件にある山村経済発展にとって注目を集めている品目が生椎茸である。生椎茸生産は近年全国的に拡大しており、曹斌氏によれば、生椎茸は既に茶の生産量を超え、中国山村地域の経済振興に寄与する最も重要な品目の一つとなったとされる。本稿では、中国東北部における牛毛塢鎮を事例に、生椎茸生産を柱とする中山間地域農業の現状と課題を明らかにする。

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