奈良県森林におけるALOS/PRISMデータを用いた平均樹高推定の可能性

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抄録

人工衛星の中には直下視に加えて,前方視・後方視を行うセンサを搭載しているものもある。牧ら(2007)は,TERRA衛星に搭載されているAdvance Space borne Thermal Emission and Reflectance Radiometer(ASTER)センサ(空間分解能15m)の直下視と後方視データを用いて樹高計測の可能性を検討した。2時期の表面高度の差分から落葉樹の正確な樹高を求めることは困難であったが,市街地や水田,常緑樹のように季節を問わず鉛直方向の変化があまりない場所と比較すれば,落葉に伴う高さ情報の変化を捉えることができることを示した。2006年1月24日に打ち上げられたALOS衛星に搭載されたPRISMセンサでは,空間分解能2.5mで直下視・前方視・後方視の観測を行っており,地表面の凹凸を観測する事が可能である。地表面の凹凸には市街域であれば建物,森林域であれば木の樹冠表面も含まれているため,地面の高さを差し引く事により,建物や樹冠の高さを推定する事ができる可能性がある。しかしながら,PRISMの空間分解能や,現存する地表面高データの空間分解能や,その精度が地上物の高さを推定するに十分であるのかについて,詳細な検討の報告は少ない。本研究では,PRISMデータを利用して奈良県全域の表面高データを作成し,国土地理院の地表面高データとの差分をとって樹冠高データを作成する。林業では施業の最小単位として小班が設定されているため,樹冠高推定データが小班程度の領域の平均的な樹高として利用可能であるかについて,奈良県吉野郡内における現地調査データ・森林簿・LiDARデータを用いて検討する。

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