日本における溯河性魚種の漁獲に関する一考察

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  • A Study on Fishing for Anadromous Species in Japan : with respect to Paragraph 2 of Article 66 of the 1982 Law of the Sea Convention

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抄録

本稿では、沿岸国に認められた広大な資源水域であるEEZにおいて、人類全体にとっても重要性を持つ生物資源に関する沿岸国の管理義務-生物資源の保存と最適利用の原則-が、どのように実施されているかを国家実行を通して検討することにより、当該規定の明確化を試みることを目的とする。この関係で本稿が取り上げたのは、国連海洋法条約の第66条に規定された溯河性資源である。当該資源に対する母川国の管理措置(増殖の労力と費用)を尊重して、母川国の当該資源に対する優先権-「第一義的利益」-が認められていると言えるが、当該資源は、母川国のEEZを越えて公海の広い範囲を回遊しており、その意味では国際公共性を有する資源とも言えよう。そういった点からも、母川国は「第一義的利益」とともに「責任」、つまり当該資源を保存する義務「同条約第66条2項」をも有しているのである。本稿では、日本におけるこの保存措置の検討を行ったが、当該資源の管理は、少なくとも放流までは優れた人工孵化技術により確保されていると言えよう。ただ当該資源の漁獲量は、その成熟する広大な北太平洋の海洋生態系に大いに依存している。その意味で当該海域の環境収容力の問題が本規定の将来に大いに関係する。

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