イネにおける葉身傾斜の調節機構

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1960年代から注目された太陽光を効率的に利用するためのイネ受光体勢の研究,切断葉片の重力刺激,イネ苗の単色光反応,病害虫による葉身傾斜の増大,Lamina joint(葉身関節)の解剖学とホルモン作用が紹介され,続いてブラシノライド(BL)・ブラシノステロイド(BR)研究が話題となった.研究はイネLamina jointテストを用いて進められ,約10年を経て構造が決定された.第6番目の植物ホルモンとしてBRが誕生する過程でLamina jointテストが重要な役割を果たしたが,今日,天然物の探索・微量定量・構造活性などに不可欠な検定法として,世界で広く使用されている.BL生合成経路が解明され,欠損矮性植物やBL非感受植物が発見されたが,Lamina jointのBR高感性や,その調節機構の解明が課題とされた.次に,イネの葉身角度などの測定により,仮想稲の基本構造である葉身形態を3次元コンピュータグラフィックスで再現する計測モデリング例が紹介された.主茎展開後の葉身は,上位5葉で直立した.分げつ茎の傾斜角度は,分げつ位・積算温度・分げつ茎の傾斜角度に影響されると指摘された.仮想稲の生育をコンピュータ内に作成し,葉面積分布や光環境シミレーションを行うために,葉位別葉身傾斜やその変動要因・物理的機構などの解析が必要とされた.最後に,BR生合成系の最終産物であるBLはシグナル伝達系に関与しており,細胞膜にその受容体が想定された.イネブラシノライド受容体遺伝子をアンチセンス方向でイネに導入したところ,半矮性で直立葉をもつ個体が得られた.以上の講演に対して,短時間ではあったが活発な討論もなされた(前田英三).

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  • CRID
    1570572701929668096
  • NII Article ID
    110001742436
  • NII Book ID
    AN00189888
  • ISSN
    00111848
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • CiNii Articles

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