自殺未遂者の生命保険の加入状況について

  • 岩崎 康孝
    日本医科大学救急医学科救命救急センター
  • 黒沢 尚
    日本医科大学救急医学科救命救急センター 日本医科精神医学教室

この論文をさがす

抄録

第三次救急施設に搬入される自殺未遂症例100例の保険加入状況を調査した。さらに症例の他の属性(性,精神疾患圏,自殺企図手段,家族の有無,配偶者の有無,子供の有無)との関係を調べた。対象となった自殺未遂者症例の生命保険加入率は33%であり,一般人口に比べ低かった。生命保険加入率と患者の属性との関連では,精神疾患圏,自殺企図手段,家族の有無,配属者の有無,子供の有無とは有意な相関を認めた。性との有意な関連は認めなかった。生命保険加入率の低い群は,精神疾患圏では,精神分裂病圏症例,自殺企図手段では服薬による症例,家族の無い症例,子供の無い症例,配偶者の無い症例であった。特に服薬自殺企図症例は性,精神疾患圏,家族・配偶者・子供の有無などの要因によって生命保険加入率が低いとは言えず,他の方法を選択する自殺企図症例とは異なる母集団を形成している可能性を示唆した。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ