MRIを用いた顎二腹筋後腹触診状態の観察および評価

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本研究の目的は,顎二腹筋後腹を仮想触診状態でMR撮影し,同筋および周囲組織への影響を画像解析手法を用いて分析し,触診法の正確性を明らかにすることである。Minm撮影(Tl強調)は,顎口腔系に異常を認めない正常有歯顎者15名30側(25〜30歳,平均年齢27.5歳)を用いて,顎二腹筋後腹の非圧迫状態および触診による圧迫を想定した状態での撮影を顎関節の高さから口腔底部までの15スライス(width:6.0mm,pitch:6.5mm)で行った。次に,咬筋の形態変化の定量化に用いた画像処理手法に準じて,非圧迫時,圧迫時の顎二腹筋後腹,胸鎖乳突筋,耳下腺,下顎後静脈の断面積,周囲長を計測,比較した。また,顎二腹筋後腹,胸鎖乳突筋,耳下腺,下顎後静脈の正中方向への変位量を計測,比較した。これらの結果,顎二腹筋後腹の断面積は非圧迫時平均85.4±30.7mm^2,圧迫時平均73±26.9mm^2で約15%の減少を認めた。周囲長は非圧迫時平均46±7.8mm,圧迫時平均46.4±11mmで有意差は認めなかった。胸鎖乳突筋の断面積は非圧迫時平均273.5±95.9mm^2,圧迫時平均284.2±94.2mm^2で,周囲長はヲ旺迫時平均116.1±17.5mm,圧迫時平均117.7±19.8mmで有意差は認めなかった。耳下腺の断面積は非圧迫時平均616.4±224mm^2,圧迫時平均445.2±198.4mm^2で約26%の減少を認めた。周囲長は非圧迫時平均124.8±18.8mm,圧迫時平均124±25.9mmで有意差は認めなかった。下顎後静脈の断面積は非圧迫時平均17.4±7.2mm^2,圧迫時平均7.8±4.7mm^2で約55%の減少を認めた。周囲長は非圧迫時平均17.3±3.4mm,圧迫時平均11.9±4.3mmで約31%の減少を認めた。また,圧迫時に顎二腹筋後腹は平均3.5±1.6mm,胸鎖乳突筋は平均3.3±1.9mm,耳下腺は平均4.7±2.8mm,下顎後静脈は平均6.7±3mm内側に偏位していた。以上の結果より,圧迫時に顎二腹筋後腹はわずかに扁平に変形し,内側に偏位している傾向が認められた。一方,胸鎖乳突筋は断面積,周囲長を変化させずに前方部が内側に押し込まれ,屈曲した変形を示し,耳下腺は凹状に,下顎後静脈は圧縮され,顎二腹筋後腹よりも外側に位置する組織にも影響を及ぼしその影響はより大きいことが明らかになった。

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