閉経後女性における動脈硬化と骨密度との関係

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タイトル別名
  • Association between Bone Mineral Density and Atherosclerosis in Postmenopausal Women

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動脈硬化と骨代謝との関係を明らかにする目的で閉経後女性を村象に,冠動脈硬化および頸動脈硬化と骨密度の関係を臨床的に検討した。診断的冠動脈造影を施行した連続102例(年齢70±11歳)を対象に,骨代謝マーカーと骨密度(尺骨・橈骨・腰椎・大腿骨)を測定した。冠動脈造影(CAG)所見は15segmentsに分けて狭窄度に応じて数値化した。心臓CTにより冠動脈石灰化を定量し石灰化スコアとした。頸動脈エコーにおけるプラークの高さの総和(PT),およびプラークのエコー輝度を考慮したスコア(PS)を算出した。冠動脈造影にて50%以上の有意狭窄を有する患者群(33症例)では有意狭窄を有しない対照群(69症例)に比べ,腰椎骨密度には差がなかったが,大腿骨,尺骨,橈骨骨密度がそれぞれ有意に低値でありこの差は年齢補正後も有意であった(p<0.0001)。石灰化スコア,CAG score, PT, PSはいずれも患者群で有意に高値であった(p<0.001)。橈骨骨密度と石灰化スコア(r=-0.295 p=0.026)・CAG score (r=-0.351 p=0.0003)・PS (r=-0.217 p=0.0285)は有意な負の相関関係を示した。このうち,CAG scoreおよびPSとの関係は古典的冠危険因子から独立していた。閉経後女性において冠動脈硬化症を有する症例では,有さない症例に比し前腕および大腿骨骨密度が有意に低値であり,また,骨密度は古典的危険因子から独立して冠動脈および頸動脈硬化の程度と負の相関を示した。閉経後女性の骨密度低下は冠動脈および頸動脈硬化と有意な相関関係にあることが示唆された。

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