逆説仮定表現の一形式 : 「さりとて」「さりとも」を中心に

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逆接仮定表現形式の史的変遷を明らかにすることで、その体系を構築することを目標としている。本稿では、「さりとて」「さりとも」を取り上げ、その史的変遷を明らかにした。即ち、接続詞的用法(〈逆接仮定表現〉「さり・とて」「さり・とも」)から、副詞的用法(〈「まったく」「なんとかして」等の副詞句化〉「さりとて」「さりとも」)へ、と変容した結果、衰退した。これは、希望の助詞「がな」等と並行的に捉えられる。一方で「さりとて」は「は」と複合した「さりとては」形となり、文語的な場面で〈逆接仮定表現〉として用いられた。また、「さりとも」は、専ら「心話文」に用いられ、又さりとも......否定〉」形又さりとも......推量〉」形から「〈さりとも(後件省略)と〉」形へと変容した結果、「さりとて」よりも早く文献から姿を消した、と考えられる。

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  • 京都語文

    京都語文 (9), 50-73, 2002-10-05

    佛教大学国語国文学会

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