金銀パラジウム合金製クラスプの口腔内における変色と金属組織との関連

Description

金銀パラジウム合金に着目し口腔内において、どの成分があるいはどの相が腐食し、それがどのように進行していくのか等について、約1年間口腔内で使用され、暗灰色に変色した金銀パラジウム合金製の鋳造鉤について、X線マイクロアナライザー(XMA)、X線回折装置(XRD)、そして光電子分光分析装置(XPS)で腐食の状況を観察し、合金表面が変色する原因を検討した。口腔内に装着されていた5個の鋳造鉤の表面を接写した。高倍率のSEM像から、装着時の充分に鏡面研磨されていた状態からは大きく変化して、比較的平滑な領域と局部的に特定の相が深く侵食された領域が見られた。X線回折測定の検出限界内では、鉤の表面部には鋳造組織を反映したこれらの三相のみであり、硫化物や酸化物のピークは認めなかった。XPSの結果から原子レベルの最表層領域においても硫化銀や酸化銅は確認されず、このことはすべての試料に共通の結果であった。

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