新しい動体視力計の開発 : 動体視力の加齢影響と性差

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  • A NEW DYNAMIC VISUAL ACUITY DEVICE : AGING AND SEX DIFFERENCE IN DYNAMIC VISUAL ACUITY

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説明

装置: 左右に動く対象を識別する能力であるDynamic Visual Acuity(DVA・動体視力)の測定装置を新たに開発し,この装置で5才から92才までの826名の動体視力の加齢影響と性差を調べた.新たに開発した装置は,90°の白色円形スクリーン上をランドルト環が左から右に水平に動くものである.被検者とスクリーンの距離は1.2mである.ランドルト環の切れ目の幅は視角40'であり,視力値で0.025に相当する.ランドルト環は初速210°/sで動き,4.8°/sで自動的に減速する.被検者は顎台に顎をのせ,眼球運動のみでランドルト環を追跡し方向を識別する.被検者は切れ目の方向(上下左右)が識別できたら,直ちに方向を応答する.正しい応答の場合,検者はストップボタンを押す.識別できたときの速度がデジタルで表示される.動体視力のパラメータは,識別できた速度である.測定はこれを5回繰り返し,平均値を用いた.結果: 動体視力は男女とも5才から15才の間に急速に発達していた.とくに,5才から10才の間の発達が顕著であった.この測定では動体視力のピークは男女とも15才であった.20才以降,動体視力は加齢とともにほぼ一定比で低下していた.調査したほとんどの年齢で男性の動体視力が優れていたが,有意差があったのは5才児のみであった.生得的に男性は女性より動体視力が優れているのではないかと推測した.この調査により,動体視力は身体の発育期に発達し,成熟後は加齢とともに低下することが明らかとなった.この結果は動体視力(DVA)の加齢影響は静止視力(SVA)のそれとは全く異なるものであることを示した.

収録刊行物

  • 産業医学

    産業医学 36 (3), 181-182, 1994-05-20

    公益社団法人日本産業衛生学会

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