冬季における小規模な崩れに起因する谷津水路での水涸れがイシガイ類の生息に及ぼす影響

この論文をさがす

抄録

栃木県東部に位置する喜連川丘陵に属する谷津水路で,路肩の崩れによる水路の閉塞で隣接する水田への氾濫および水路下流での水涸れが発生した。この水路に生息するヨコハマシジラガイの生息に与えた影響を調べるために2012年2月19日に6コドラート内での採捕調査,環境調査,2月18日,12月9日に地権者へのヒヤリングを実施した結果から次の知見が得られた。1)少なくとも10日間の水涸れによる斃死率は0.29であった。2)生残率と平均中層深さ,最深中層深さには有意な正の相関関係が認められた。3)表層での斃死率が最も高く,斃死個体は凍死した可能性がある。地権者らによる共同作業によって水涸れは比較的短期間で解消されたが,今後,水路の維持管理の不徹底な状況が継続すると,本種の生息環境や水路生態系の変質につながると懸念された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ