大動脈基部後壁運動分析による左室拡張機能の評価

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タイトル別名
  • Analysis of Diastolic Motion of Posterior Aortic Root and Evaluation of Diastolic Function of Left Ventricle

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説明

Mモード心エコー図における拡張期の大動脈後壁運動の意味について,とくに急速充満期を中心に,心健常群と,虚血性心疾患,高血圧症,肥大型心筋症および拡張型心筋症の各心疾患群で検討した。まず,心エコー図と心尖拍動図を同時記録し,2種の記録における急速充満波振幅の拡張期総振幅に対するそれぞれの比(F/OV, f/Oa),および心房収縮期波振幅の拡張期総振幅に対するそれぞれの比(A/OV, a/Oa)を求めた。両記録によるF/OVとf/Oa, A/OVとa/Oaは良い正相関を示した。つぎに,急速充満期の大動脈後壁運動に注目し,その後退速度(AoVd)について検討した。AoVdは平均左室後壁後退速度と正相関をみ,左室のtime constantおよび等容性弛緩時間とは逆相関を示した。拡張型心筋症を除くと,僧帽弁前尖後退速度とも正相関をみた。逆に,拡張型心筋症では心係数と正相関関係を示した。以上より,AoVdは左室拡張早期機能を良く反映し,臨床上有用であると考えられた。

収録刊行物

  • 北里医学

    北里医学 17 (5), 444-452, 1987-10-31

    北里大学

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