脳磁図を用いた左右脳半球の機能分析に関する研究

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タイトル別名
  • Study on the Auditory Area Function of Right and Left Hemispheres in Man

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目的:脳磁図を用いて左右脳半球における聴覚野の活動を測定,解析し,左右の脳半球の機能の違いについて分析した。さらに聴覚野反応と利き手,また言語野との関連性についても分析した。対象と方法:対象は,聴覚野実験は健常成人44例(右利き29例,左利き15例)で,言語野実験は29例(右利き19例,左利き10例)であった。聴覚野の活動測定には,刺激音1kHzのトーンバーストで,右耳,左耳刺激の2通り行った。左右の脳半球の比較には,N100mの振幅の大きさと定量的に測定するために等価電流ダイポールを推定し,ダイポールモーメントを算出し,側化指数を用いて正規化した。言語野と利き手に関連性があるか統計学的に検証した。また言語優位半球の同定には,言語記憶課題による言語優位半球同走法を用いて行った。結果:聴覚野反応では,44例中42例に明確なN100mが認められ,対側優位型,右半球優位型,左半球優位型の3グループに分類することができた。また聴覚野の反応分類は利き手との間に関連性が認められた。言語野については,聴覚野の左半球優位型では,言語に関して優位に右半球の活動が大きいことが明らかになった。結論:脳磁図を用いることにより,脳の活動を同時に左右脳半球別に測定することが可能であった。聴覚野の左右脳半球活動差には,利き手や言語野の局在が関連していることが推察された。本研究の成果は,今後臨床において,人工内耳挿入や補聴器装用耳側の決定に応用できるものと思われた。

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