87. ブロイラーの筋胃に認められた平滑筋肉腫

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本症例は紡錘形の腫瘍細胞が主体をなしており,鑑別診断には横紋筋肉腫,悪性神経鞘腫,滑膜肉腫,線維肉腫が挙げられた。免疫組織化学的に平滑筋肉腫の特徴に合致したこと,最大腫瘤が平滑筋である筋胃に認められたことから平滑筋肉腫とした。一方,人においては,消化管に発生する間葉系腫瘍で発生頻度が最も高いとされるGISTが知られている。GISTは消化管壁の筋間神経叢に局在するc-kit陽性のカハール介在細胞が起源と考えられている。また,免疫組織化学においてc-kit陽性と判断できるものが大部分を占める。鶏における発生は報告されていないが,今回は抗人c-kitウサギモノクローナル抗体を用いて鑑別診断を試みた。正常ブロイラーの回腸において,内輪走筋層と外輪走筋層の間にある筋間神経叢付近に,c-kit陽性細胞を確認したのでこれを陽性コントロールとした。一方,本症例の腫瘍細胞についてc-kitの発現を調べたところ,陰性であった。以上よりGISTを否定し,本症例は鶏の筋胃の平滑筋肉腫と診断した。

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