幼ラットの成長におよぼすスピルリナ投与の影響(自然科学編)

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タイトル別名
  • Effect of Spirulina (Spirulina plantensis) on Growte of Rat

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説明

スピルリナは,藍藻類に属する微生物で,エチオピア,チャド,メキシコの湖に自生し,体長1mmみたない螺旋形の藻類である。藻類の中では最も原始的なもので,細胞内に核膜,仁,ミトコソドリアがなく,細菌と共に原始核細胞を持つ下等微生物として位置づけられている。通気フラスコ内で繁殖する様子はクロレラと同様に太陽エネルギー吸収の担い手として期待し得るものであるが,食用としてぱ,他の藻類,即ちコソブ,ワカメ等の褐藻類,アサクサノリ等の紅藻類,アオノリ,アオサ,クロレラ等の緑藻類に比べ利用されていないのが現状である。クロレラの食用化については古くから多くの報告がなされているが,細胞膜が厚く消化されにくい事が難点であった。スピルリナは,これとは異なり細胞壁がうすく葉緑体がなく,葉緑素は細胞内に一様に分布していることが明らかにされ,従って,今後の食用化はクロレラより容易であると思われる。成分についてはたんぱく質は60~70%とクロレラと同レベルであると報告されている。更に,たんぱく質中の必須アミノ酸組成も明らかにされ,山ロらはラットを用いた動物実験で,その生物価は60であり,制限アミノ酸はヒスチジソであることを証明している。脂肪酸組成についても脂肪含量は少ないがリノール酸含量はその20%を占めるとの報告もあり,栄養的に優れた藻類であり,無機態窒素を原料として光合成により大量に培養し得ることから未来の食糧として期待されている。そこで我々は,スピルリナの生体におよぼす諸影響を明らかにすることを目的に,ラットに対する比較的長期の投与実験を行った。

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