PCRダイレクトシークエンス法を用いたβ-グロビン遺伝子変異の解析 : 遺伝子診断が可能であった鎌状赤血球性貧血症および不安定ヘモグロビンBurke

書誌事項

タイトル別名
  • Polymerase Chain Reaction-Direct Sequencing Devised for Mutation Analysis of β-globin Gene : Molecular Diagnosis of Sickle Cell Anemia and Unstable Hemoglobin Burke

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説明

In vitroの遺伝子増幅法であるpolymerase chain reaction(PCR)法は,遺伝子解析の研究や臨床の遺伝子診断において解析のアプローチに大きな変革をもたらしつつある。我々は,PCR法を用いたβ-グロビン遺伝子解析法を検討し,異常ヘモグロビン症による溶血性貧血が疑われた2症例の遺伝子レベルの解析を試みた。我々のβ-グロビン遺伝子のダイレクトシークエンス法では,まず,微量の末血よりRNAを抽出し,RT-PCR(reverse transcriptase-PCR)法によりβ-グロビンmRNAのcDNAを増幅し,d(T)_<15>,テールをもつプライマーで増幅後,oligo(dT)結合ダイナビーズを用いて1本鎖PCR産物を精製する。更に,PCRによる増幅を利用したサイクルシークエンス法を組み合わせることにより,微量の鋳型DNAから,良好なシークエンスの結果を得ることができた。このようなダイレクトシークエンス法の改良法を用いる遺伝子解析によって,鎌状赤血球性貧血症および不安定ヘモグロビンBurkeの確定診断を行うことが可能であった。PCRダイレクトシークエンス法は,微量の臨床材料から迅速で高感度に変異した遺伝子やその転写産物の解析に利用することができ,種々の遺伝子変異を伴う疾患の遺伝子診断に広く応用が可能であると考えられる。

収録刊行物

  • 北里医学

    北里医学 24 (1), 15-20, 1994-02-28

    北里大学

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