頭蓋骨縫合早期癒合症の診断と治療

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  • Diagnosis and treatment of craniosynostosis

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当院で治療を行なった頭蓋骨縫合早期癒合症について後方視的に検討し,診断,治療の問題点について考察した。対象は,29例で非症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症23例,症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症6例である。頭蓋形態は,短頭蓋7例,斜頭蓋9例,三角頭蓋8例,舟状頭蓋4例,尖頭蓋1例であった。症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症は全例短頭蓋であった。診断の時期は,非症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症では1歳7ヶ月,症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症では5.2ヶ月で,非症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症で診断時年齢が遅かった。身体合併異常は,非症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症では,14例(60.9%)に認め,症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症では全例に認めた。発達遅滞は,非症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症では9例(39.1%)に認め,1例を除いて合併異常を伴っていた。症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症では5例(83.3%)に発達遅滞を認めた。FGFR変異は,非症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症には認めなかったが,症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症では,5例中4例に変異を認めた。治療により,形態的には良好な結果が得られていたが,発達遅滞が術後に改善する症例は少なかった。今後は,より早期に頭蓋骨縫合早期癒合症を診断し治療時期が遅れないこと,遺伝子検索を含めた詳細な検討を重ねていくこと,新しい骨延長器の開発が課題としてあげられた。

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