胸腔内に巨大な腫瘤を形成した atypical thymoma の 1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Giant Atypical Thymoma in the Thoracic Cavity

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説明

症例は47歳.男性, 会社員.既往歴に特記すべきことはない.平成9年11月の検診では異常なかったが, 平成10年11月の胸部X線で異常陰影を指摘された.画像上左胸腔内に小児頭大の腫瘤があり, 肺静脈, 舌区および胸壁浸潤が疑われた.生検でthymomaと診断され化学療法(ADOC)を2コース施行した.効果は縮小率11%でNCであった.その後胸骨正中切開に後側方開胸を追加して, 拡大胸腺摘出術, 心膜合併切除, 左上葉切除, S^6合併切除を行った.切除標本で腫瘍は心膜および左上葉に浸潤し, 正岡III期であった.断端の腫瘍細胞は陰性で, 完全切除であった.免疫組織学的検討ではbcl-2とKi67(MIB-1)で高い染色性を示し, 高度の細胞増殖能を示した.またO13(MIC2)による染色で腫瘍内浸潤リンパ球は未熟リンパ球と考えられ, 胸腺癌ではなくatypical thymomaと診断された.リンパ球表面マーカーの解析は胸腺腫と胸腺癌の鑑別に有用であった.

収録刊行物

  • 肺癌

    肺癌 40 (7), 759-763, 2000-12-20

    日本肺癌学会

参考文献 (14)*注記

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