縄文・弥生時代の弓矢について : 完形出土品を中心とした分析と考察

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  • A study of bows between the Jomon to Yayoi period : Analysis and discussion in grate part of full-length bows

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これまで、先史時代の弓矢研究は鏃の分析が中心であり、弥生時代に弓は狩猟弓から戦闘弓へと機能分化し、それに伴い弓と鏃は大型化したとの主張がなされてきた。一方、古代の研究においては、短下長上で長大な和弓がどの段階で成立するのかという議論が起こっている。近年になり、低湿地遺跡の発掘調査が増加したことで弓本体の出土事例も増え、複数の研究者により先史時代の弓について集成研究が発表された。これらの集成研究は、古代の和弓成立を考える上でも非常に重要なものである。しかし、これまでになされた集成では全長がわかる資料はほとんどなく、弓の長大化について未だ議論は深まっていない。また、集成された資料の中には弓かどうか判別し難い資料も多く、分析結果自体にも懸念材料があった。本稿では、弓の全長が確認できる完形出土品の弓を対象として集成し、全長を中心に諸要素を分析することで、縄文・弥生時代において弓がどのような変遷をたどったのか明らかにした。弓は全長によって長弓(180㎝~120㎝)・短弓(120㎝~50㎝)・小型弓(50㎝以下)に分類することができた。小型弓は縄文時代にのみみられるものの、縄文~弥生時代にかけて弓の長大化はみられず、鏃の大型化に弓の長大化が伴わないことが判明した。ただし弓の最大湾曲部の位置は、弥生時代に弓の中央部から離れる場合が多くなり、短下長上の傾向が強まっていったことは確認することができており、これは古代における和弓成立に繋がると考えられる。

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