大腸穿孔に伴う急性汎発性腹膜炎に対するエンドトキシン吸着療法(PMX-DHP)の有用性に関する研究

  • 松澤 研
    金沢医科大学消化器外科治療学(消化器外科学)
  • 斎藤 人志
    金沢医科大学消化器外科治療学(消化器外科学)
  • 高島 茂樹
    金沢医科大学消化器外科治療学(消化器外科学)

書誌事項

タイトル別名
  • Study on Usefulness of Endotoxin Adsorption Therapy (PMX-DHP) for Acute Diffuse Peritonitis accompanying Large Intestinal Perforation

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説明

【目的】大腸穿孔に伴う急性汎発性腹膜炎に対するエンドトキシン吸着療法(PMX-DHP)の有用性を検討することを目的とした。【対象と方法】手術後,ICU帰室後直ちにPMX-DHPを施行した大腸穿孔症例25例を対象に,救命率,治療成績を左右する臨床的指標および各種メディエーターの推移と治療成績の関連性について検討した。【結果】対象25例の救命率は72.0%であり,重症例(APACHE-II score≧15)に限定した救命率は61.1%で,PMX-DHP導入以前の21.1%に比し有意(p<0.05)に改善した。救命例では本療法開始により循環動態が安定する症例が多く,死亡例では呼吸器・循環器・肝・中枢神経の障害例,3臓器以上の臓器障害合併例,APACHE-II score≧18,およびSOFA score≧4を示す症例が有意に多かった。血中エンドトキシン値(ET値)との関係では施行前ET値が5pg/ml以下では救命例が多く,ET値の推移は5pg/ml以上の救命例では減少傾向を示したのに対し,死亡例では増加傾向を示した。IL-6,IL-10,TNF-αは全ての時点で死亡例が救命例に比し高値を示し,救命例では本療法開始後に減少傾向を示したのに対し,死亡例では増加傾向を示した。単球数,単球分画は救命例で減少傾向がみられた。【結論】PMX-DHPは大腸穿孔に対する早期治療手段として有用であり,さらに循環動態の早期安定化,APACHE-II score18以下,SOFA score4以下,呼吸器・循環器・肝・中枢神経の障害がないこと,3臓器以上の臓器障害合併がないこと,各種メディエーターが減少傾向を示すことなどの条件を満たす場合に予後改善が得られることが示唆された。

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