東日本大震災は東北に何をもたらしたか : 失業率、生活保護被保護世帯率、自殺率のDID分析
抄録
本稿では、都道府県別パネルデータを用いて、東日本大震災の前後を被災地域とそれ以外の場所の生活保護率、失業率、有効求人倍率、自殺率の差に注目して分析を行った。その結果、東北地方の自殺率はそれ以外の地域と比べて、震災以降には相対的に大きく低下した。一方、福島県は、それ以外を比較すると、震災以降生活保護率、有効求人倍率、失業率などは低下したものの、自殺率は他の東北地方と異なり、むしろ上昇した。特に福島県の女性では顕著である。この結果は、東日本大震災の被災地であっても、福島県は経済状況の回復にもかかわらず、自殺率は上昇した。自殺率に対する震災の影響は被災地によっても全く異なることを示唆し、特に福島県では経済指標では測定しづらい社会的厚生を低下させたままの状況が続いていることを意味する。
収録刊行物
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- 経済研究所 Discussion Paper = IERCU Discussion Paper
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経済研究所 Discussion Paper = IERCU Discussion Paper (355), 2021-09-07
中央大学経済研究所
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1571980077556734976
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- NII論文ID
- 120007170747
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- Web Site
- http://id.nii.ac.jp/1648/00013457/
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- CiNii Articles