東アジアにおけるサプライ・チェーンの形成に関する実証分析

抄録

本稿においてはNIEs3, ASEAN4, 中国に焦点を当て、東アジアにおいて日本の生産経営により形成が進められているサプライ・チェーンの実態について貿易、直接投資両面から検討を行った。 その結果、NIEs3, ASEAN4,中国が雁行形態的な経済発展を遂げる過程において, 日本の生産経営が圧倒的に比較優位を有していた化学製品, 一般機械, 電気機械, 輸送用機械, 精密機械などの業種についても, これからの国・地域の競争力が次第に強化され, 日本の比較優位が低下するに伴い, 業種によっては中管財, 最終財ともに産業内分業が進展していることが判明した。 逆にいえば, 日本の生産経営はそれらの比較優位を生かすように生産工程を分散化したり, 産業集積を形成するようになっている。また, これに伴い日本, 日経および地場の生産経営との間でサプライ・チェーンの形成が進展しつつある。 一方, 今後, 生産要素賦存比率が類似することに伴い生産拠点の立地国・地域の関係は相互補完から競合へと変化する可能性もある。

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