宗教上の理由により輸血を拒否した広範囲熱傷患者の治療上の問題点

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タイトル別名
  • Treatment Difficulties for a Major Burn Patient Who Refused Blood Transfusion for Religious Reasons

抄録

 広範囲熱傷の患者では, 凝固機能障害や貧血が進行し血液製剤を使用することが多い. エホバの証人に代表される宗教上の理由で輸血を拒否する患者では, 血液製剤が使用できないこともあり治療に難渋することが予想される. 今回, 輸血を拒否した広範囲熱傷の患者の治療を経験したので報告する. 60歳, 男性. 胸まで熱湯に浸かり, 52%TBSAのⅡ度熱傷を受傷. 来院後, エホバの証人であることが判明し, 血液製剤の使用を拒否されたため細胞外液製剤のみの投与で治療を開始した. 輸血が必要な凝固障害や貧血の進行はなく, 保存加療にて熱傷創は上皮化し退院となった. 宗教的輸血拒否に関するガイドラインや判例では, 患者の人格権は十分に尊重されるべきとされている. 治療方針の対立が生じた場合に転院等を促す方法も示されているが, 問題の先送りや主治医としての責任放棄とも捉えられかねない. 患者や家族と治療方針について十分な対話を行い, 納得した医療を行っていくことが必要である.

収録刊行物

  • 熱傷

    熱傷 47 (4), 132-136, 2021

    一般社団法人 日本熱傷学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1571980078125080064
  • NII論文ID
    130008116453
  • ISSN
    0285113X
  • DOI
    10.34366/jburn.47.4_132
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • CiNii Articles

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