著しい高カルシウム血症を呈したバセドウ病の1例

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説明

症例は25歳,男。悪心・嘔吐,多飲多尿,体重減少のため他院に入院中,甲状腺機能亢進症を指摘され,当科転院となった。全身衰弱が著明で,血清カルシウム値12.5mg/dl, カルシウムイオン3.14 mEq/lと著しい高カルシウム血症を呈していた。血中甲状腺ホルモン高値,TSH受容体抗体強陽性であり,バセドウ病と診断した。大量の輸液により,著明な高カルシウム血症は数日以内に改善し,また,抗甲状腺剤投与による血中甲状腺ホルモンの正常化にともない,血清カルシウム値は正常化した。諸検査の結果,悪性腫瘍にともなうHHMやLOHは否定され,副甲状腺機能亢進症の合併も認められなかった。本症例は脱水が主たる増悪因子となって,著明な高カルシウム血症をきたしたものと推測された。甲状腺機能亢進症に著明な高カルシウム血症を合併することはまれであるが,増悪因子の検索と至適治療が重要である。

収録刊行物

  • 北里医学

    北里医学 24 (4), 310-314, 1994-08-31

    北里大学

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