相互に連携する交通インフラの構築\n~局所的サービスから大域的サービスへ~

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抄録

東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)が2001年11月に首都圏で導入したICカード乗車券システム"Suica"は,自社内の仙台,新潟地区へ導入するとともに,北海道旅客鉄道(JR北海道),関東公民鉄各社,東海旅客鉄道(JR東海),西日本旅客鉄道(JR西日本),九州旅客鉄道(JR九州),西日本鉄道,福岡市交通局と相互利用のエリアを拡大してきた.Suica導入後,2004年8月にJR西日本と開始した相互利用はお互いのICカードをそれぞれのエリア内に限り利用できるという "局所的サービス"であった.しかし,2007年3月に開始した首都圏での相互利用によって現在首都圏では,鉄道(31社)だけでなくバス(77社),一部の大手タクシー会社と,ほぼすべての種類の陸上交通機関にてSuicaカード1枚で利用できるようになっただけでなく,事業者間,路線間において双方向での利用が可能な"大域的サービス"となり,Suicaは交通インフラとなった.この首都圏相互利用では,複雑な網の目状の鉄道路線や相互直通による鉄道事業者間を乗り継ぐ際の運賃計算の正当性をいかに保証するか,各鉄道事業者の既設改札機における改修をいかに短期間,低コストで実現するかかが課題であった.この課題に対し,改札機IC判定モジュールとロジックシミュレータを提案し,システムへの高品質サービスの提供を実現した.本論文では交通インフラの基礎となった改札機IC判定モジュールとロジックシミュレータの背景・経緯,導入した技術について述べる.

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