腹腔鏡下手術における血栓予防としての高濃度ヘパリンの有用性

  • 古田 一徳
    北里大学医学部外科,国立大蔵病院 国立成育医療センター
  • 土橋 誠一郎
    北里大学医学部外科,国立大蔵病院 国立成育医療センター
  • 根本 祐太
    北里大学医学部外科,国立大蔵病院 国立成育医療センター

書誌事項

タイトル別名
  • The usefulness high-dose heprin therapy for the prevention of thrombus formation during endoscopic surgery

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説明

腹腔鏡下手術症例の増加に伴い,深部静脈血栓症や肺梗塞といった重篤な合併症が散見される。われわれは血栓形成予防のために高濃度ヘパリンを使用していたが,その有用性を検討するために,ヘパリンの使用の有無で術前,術後の凝固線溶系の変動の違いをヘパリンを使用した群69例とヘパリンを使用していない群9例で比較した。プロトロンビン時間(PT),トロンボテスト(TT)はヘパリンの使用により術後有意に延長していた。また,フィブリン-フィブリノーゲン分解産物(FDP),トロンビン-アンチトロンビンIII複合体(TAT),Dダイマーはヘパリンを使用した群では術後の上昇はみられなかったが,ヘパリン未使用群では術後有意な上昇がみられた。気腹下での腹腔鏡手術では凝固線溶系の亢進がみられ,ヘパリンによる血栓予防対策は,これらの亢進を抑えており,血栓発生の予防の一端を担っていると考えられた。

収録刊行物

  • 北里医学

    北里医学 33 (1), 19-24, 2003-02-28

    北里大学

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