「どうして抵抗しなかったの?」第二次世界大戦中における日系アメリカ人の黙従的態度の文化的背景

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  • "How Come You Didn't Fight Back?" The Cultural Background of Japanese American Acquiescence During World WarⅡ

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抄録

第二次世界大戦中、日系アメリカ人二世は召集され、両親と共に強制収容所に連行された。彼らは概して抵抗せず、黙々と従った。三世である彼らの子供たちは、事の次第を知らされるとショックを受け、「なぜ抵抗したり戦ったりしなかったのか?」と尋ねた。これには明らかな理由があったが、ほかに日本文化の社会的な態度に深く根ざした理由もあった。それらは我慢や辛抱といった概念で表されるものに加え、遠慮、素直、諦め、滅私奉公、迷惑、甘えに代表されるものでもあった。一世が、封建制から脱したばかりの明治期の日本からアメリカヘとこうした態度を持ち込み、それを次世代に伝えたのである。日本でもアメリカでも、外面は変わったが、強力な文化的慣性のため、日系アメリカ人のこうした態度は、驚くほど変わっていない。それらがいかに戦時中の日系二世の生活と日本人の社会生活の構造の一部をなしているかを評価するために、明治及び近代の日本社会を検討する。こうした背景を理解すれば、日系アメリカ人が人種集団としてアメリカ社会に溶け込もうとした重大な転換点において、彼らの行動を動機づけたのが何であったかがわかるであろう。

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