小規模家族企業の経営革新 : 生活雑貨産業の諸事例から(第2セッション,統一論題「イノベーション・マネジメントとベンチャー・スピリット」)

書誌事項

タイトル別名
  • A Study on Innovation of family business management on the cases of daily goods manufacturers

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説明

日用品、身の回り品などを扱ういわゆる「生活雑貨」産業は、製造・製品技術面で先端的ではないことが多く、小規模企業の地理的集積であることがたいていであるなどの理由で、これまで経営学的な考察を加えられることが少なかった。近代的経営概念が日本社会に導入される以前から営々と存続してきたこの業界は、意図的なマネジメントの対象とされないまま、地理的集積の外部経済性や小規模家族企業なりの運営効率の良さに依存して、慣習墨守的な事業運営に終始してきた企業が多い。しかしそれらの事業体は労働コストの安い海外産品に押され、経営革新に挑もうとする時に、はじめて高付加価値化や資本回転率改善、ブランド化などの概念を意識した戦略的な経営の必要性に直面する。日本各地の生活雑貨メーカーの事例においては、会計情報の整理活用、商品のブランド化などが試みられる。それを担えるマネジメント人材として、一時は外部の大企業などで経験を積んだ経営者の息子が帰郷して幹部人材として入社し、経営革新に大きな役割を果たすが、このとき縁故主義的共同体と能力主義的機能集団の組織文化的統合が図られている。このことは同時に、近代以前からあったイエ事業体への初めてのマネジメント概念の適用・普及プロセスとしてとらえることができる。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1572543027359746688
  • NII論文ID
    110010001570
  • NII書誌ID
    AA12545456
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • CiNii Articles

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