カイコの性決定最上流因子の発見

この論文をさがす

抄録

私たち人間を含めた多くの生物は,有性生殖を行うために「性」を保持している。雌雄は同じ種の生物であり,ほぼ同じゲノムを保持するが,性染色体など特定の一部が異なることで雌雄の性に分化する。この性分化の仕組みは,生物種によって大きく異なっている。多くの生物は,雌雄で異なる構成の染色体である性染色体を持つ。ヒト,キイロショウジョウバエ,およびマウスなどはXY型の雄ヘテロ型の染色体構成を持つが,ニワトリやカイコはWZ型の雌ヘテロ型である(Bachtrog et al.,2011)。また,同じ性染色体構成であっても,何が性決定の引き金になるのかが異なっている場合もある。キイロショウジョウバエでは,性染色体と常染色体の本数の比であるX/A比が性決定の引き金になるが,マウスではY染色体上に存在するSry遺伝子が雄性を決定する(Salz and Erickson,2010; Tanaka and Nishinakamura,2014)。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ