『看護覚え書』の背景にある19世紀イギリスの労働者階級の住生活
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- 三ツ山 井子
- 長谷川病院
書誌事項
- タイトル別名
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- 19th-Century English Labour Class Housing as the Background for Notes on Nursing : What It Is and What It Is Not
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説明
フローレンス・ナイチンゲール(Florence Nightingale, 1820〜1910)の『看護覚え書き』(Notes on Nursing : What It Is and What It Is not)は,数多くある彼女の著作の中でも代表的なものである。近代看護の原点として多くの人に読みつがれ,研究されてきた。19世紀イギリスの労働者階級の生活を描いた書物はいくつかあるが,1859年末に出版された『看護覚え書』もまた,当時の労働者階級の生活を描いている貴重な書物である。産業革命による社会の変化は,人々の生活を大きく変えた。貧富の差は,大きくなり貧しい労働者階級は悲惨な生活をしていた。一日中陽があたらない地下室や路地裏の家に住み,家の内外にはゴミが山積みにされていた。上下水道は完備されておらず,共同水道,共同トイレを使用し,常に悪臭が漂っているような状況の中で生活をしていたのである。このような状況を彼女は,冷静にみつめ,看護の専門家として,適切な判断を下している。彼女の目を通して描かれた当時の労働者階級の住生活について,明らかにしてみた。このことは,今日の社会問題を考える時,看護の専門家として何をなすべきか,多くの示唆を与えてくれるからである。
収録刊行物
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- 順天堂医療短期大学紀要
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順天堂医療短期大学紀要 4 80-88, 1993-03-25
順天堂大学
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1572824501706859520
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- NII論文ID
- 110001058268
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- NII書誌ID
- AN10386411
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- ISSN
- 09156933
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- CiNii Articles