『看護覚え書』の背景にある19世紀イギリスの労働者階級の住生活

書誌事項

タイトル別名
  • 19th-Century English Labour Class Housing as the Background for Notes on Nursing : What It Is and What It Is Not

この論文をさがす

説明

フローレンス・ナイチンゲール(Florence Nightingale, 1820〜1910)の『看護覚え書き』(Notes on Nursing : What It Is and What It Is not)は,数多くある彼女の著作の中でも代表的なものである。近代看護の原点として多くの人に読みつがれ,研究されてきた。19世紀イギリスの労働者階級の生活を描いた書物はいくつかあるが,1859年末に出版された『看護覚え書』もまた,当時の労働者階級の生活を描いている貴重な書物である。産業革命による社会の変化は,人々の生活を大きく変えた。貧富の差は,大きくなり貧しい労働者階級は悲惨な生活をしていた。一日中陽があたらない地下室や路地裏の家に住み,家の内外にはゴミが山積みにされていた。上下水道は完備されておらず,共同水道,共同トイレを使用し,常に悪臭が漂っているような状況の中で生活をしていたのである。このような状況を彼女は,冷静にみつめ,看護の専門家として,適切な判断を下している。彼女の目を通して描かれた当時の労働者階級の住生活について,明らかにしてみた。このことは,今日の社会問題を考える時,看護の専門家として何をなすべきか,多くの示唆を与えてくれるからである。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ