インドにおける土地収用と農民-デリー近郊の2農村の事例から-

書誌事項

タイトル別名
  • Land Acquisition and Farmers in India: A Case Study of Two Villages on the Periphery of Delhi

抄録

本稿では、都市化・工業化が急速に進む、デリー郊外の二つの農村を例に、開発目的の土地収用に対して、土地を収用された住民たちがどのように対応し、農村の経済活動にどのような変化がもたらされたのかを論じる。土地収用により、土地なし世帯が急増し、農民の離農が促された一方で、新たな土地購入や建物の増改築により賃貸業が普及した。その結果、村内で比較的恵まれていた世帯の経済的優位は変わらなかった。また、土地収用に対する反対運動では、補償金の増額や農地の返還が要求されていた。土地を収用された住民からは、農地が返却されたとしても、農業よりも、土地を多目的に活用することを望んでいることがうかがえた。就業形態の多様化が進み、都市近郊の地価が急騰するなかで、また、民主主義の深化がみられるなかで、交渉力を身につけた土地所有者にとって、土地収用は必ずしも土地所有者の敗北を意味しなくなった。

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