マツ葉ふるい病とその病原菌、とくにLophodermium iwatense SAKUYAMAの発生生態と防除に関する研究

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マツ葉ふるい病はわが国では古くからよく知られており、マツ類の重要病害のひとつとされている。その被害は苗畑だけではなく、林地植栽後においても、また庭園木などにも発生する。従来の研究はLophodermium pinastri によるマツ葉ふるい病を対象としたものであったが、本研究は岩手県下各地のアカマツ苗畑で大発生したL.iwatenseによるマツ葉ふるい病について、その病原菌の形態、病原性、生理生態的性質及び防除法を検討したもので、その概要はつぎのとおりである。1 マツ葉ふるい病病原菌各種の形態わが国で8県から採取したアカマツ、クロマツ及び外国マツ計28点の病葉上の病原菌の形態を調べ、Minter42)の分類法に基づき種の同定を行った。その結果、28点の標本のうち18点をL.pinastriと同定した。また、L.conigenum、L.staleyi、L.nitensを各1点から同定した。残り7点はいずれも岩手県内で採取したもので、新種のLiwatense SAKUYAMAと同定した。L.iwatenseの宿主はアカマツ、クロマツ、オウシュウアカマツ、パージニアマツ及びジェフリーマツであった。アカマツ苗病葉上のL.iwatenseの形態は次のとおりである。子のう盤は黒色、楕円形、大きさ0.4-1.3×0.2-0.5mm、部分的に表皮下に形成され、子のう盤下部に散在する表皮細胞数は2-6個である。子のうは円筒形で8個の子のう胞子を含み、大きさは99-166×14-20μmである。子のう胞子は単胞、糸状、無色、多数の油球を有し、ゼラチン様被膜に包まれ、大きさは69-104×4μmである。側糸は糸状で先端やや湾曲、膨らみ、隔膜を有し、大きさ100-160×2μmである。精子器は灰黒色、長楕円形、表皮下に形成され、大きさ0.2-0.7×O.1μm、精子は無色、長楕円形、大きさ6-8×1μmである。(以下、略)

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