ミリ波・テラヘルツ波技術を用いた木材の非破壊評価の現状と展望

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抄録

木材は,低環境負荷材料として注目を集めるが,天然材料であるため,材料内における欠点(節や割れ)の存在や基本特性(密度,含水率,繊維方向)の変動が,工業材料としての不具合を生むため,それらの非破壊評価技術が常に求められている。ミリ波・テラヘルツ波はこれまで未開拓であった周波数30GHz~10THzの電磁波であり,木材の新しい非破壊評価技術として注目される。本記事では,ミリ波・テラヘルツ波技術による木材基本特性の非破壊評価に関する研究を紹介するとともに,新たな展開として,木材の年輪構造,細胞構造,細胞壁内の微細構造の評価についてその現状と展望について述べる。本記事では,ミリ波・テラヘルツ波技術を用いた木材の基本特性(密度,含水率,繊維方向)の非破壊評価に関する報告を集約して,その現状や問題点について紹介した。また,同技術が木材の年輪構造,細胞構造および微細構造の有力な検出手法の一つとなりうることを示した。今後の課題は,木材中の水分がミリ波・テラヘルツ波に及ぼす影響を,木材構造の観点から明らかにすることである。木材細胞と野菜や果物の細胞には,構造的に共通する部分が多く見られるため,水分を多く含む野菜や果物の細胞に対する同技術の適用についても有用な知見になると考えられる。

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