用語「鎮守の森」の近代的性格に関する考察

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  • A Study on the Modern Characteristics of a Term "Chinju-no-mori"

抄録

現在、神社境内の樹林や生態系をシンボリックに表現する「鎮守の森」という言葉は、伝統的に思われるものの実際には近代以降に現われたものであることは既に知られているが、その起源は依然として不確かである。本稿では可能な限りこれを遡り、当初のこの用語の導入意図について考察し、あわせてその後の同用語の包含する意味的性格の変化についても整理を行った。「鎮守の森」が使用されたのは、明治20年代における作家田山花袋による使用が初期のものであること、田山は、西欧文学に学んだ近代的な風景を描写する手法の一つとして、村落のランドマークとなる中景域にみえる神社の森を「鎮守の森」として表現したこと、「鎮守の森」は明治末期には一般的な言葉として、日本の伝統や神社の聖性を象徴的に内包した神社そのものを示す表現へと意味が拡大していったこと、などを明らかとした。

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